安宅和人氏による「イシューからはじめよ」を読みました。
この記事では以下の内容についてまとめます。
- 本書についての注意点
- ganyariya からみた(エンジニア観点でみた)本書のポイント
- 読んでみて思ったこと・考えたこと
一方で以下の内容については記さないことに注意してください。
- 本書の徹底的なまとめ
- ビジネス的な観点でみた本書のポイント
本書についての注意点
これから「イシューからはじめよ」を読もうとしている方(とくにエンジニアの方)への注意点です。
エンジニアという視点から見ると後半の章はあまり関係がない
本書はあらゆる職業の方にとって、読むべき価値のある本だと感じました。
具体的には「イシューとはなにか」「イシューを見極めることがもっとも大事であること」という前半部分についてです。
しかし、後半の章については企画職・研究職・営業職という「新しい課題をみつけてアプローチする」職種向けであり、エンジニアにはあまり関係がないかもしれない、と感じました。
というのも、後半の章で語られるのは「発見したイシューについてどう仮説を立ててストーリー付けし、分析したうえで発表するか」について、方法論を提示するものであるためです。
「エンジニア」というくくりにおいても、様々なしごとの仕方があります。
そのため、本書の後半で語られるような経営課題や分析課題・研究課題に取り組む方にとっては非常に向いているとおもいます。
しかし、ソーシャルゲームのバックエンドエンジニアという働き方からみると ganyariya には後半の章は関連が薄かったです。
ただし、後半の章に含まれる方法論について、自分にも役立つものがあったため、時間があるときはぜひ後半も読み込み仕事に活かせるとよいかと思います。
本書は課題解決の本ではない
改訂版のなかで何度も書かれているのですが、本書は「課題解決の方法論」を伝えたいのではありません。
本書で伝えたいことは 知的生産 です。
正しいイシューをみつけて仮説を立てて取り組むことで、知的なアウトプットを増やそう
あくまでも知的生産がメインであり、課題解決ではありません。
本書のなかで説明のために利用されるサンプルが課題を解決するものであるため、誤解がうまれやすいのかなとおもいます。
ganyariya からみた(エンジニア観点でみた)本書のポイント
イシューとは「自分の置かれた局面で答えを出すべき意味のある問題」のことである
本書において イシュー という言葉がよくでてきます。
このイシューとは、自分が解くべき・取り組むべき意味のある問題、のことを指します。
このとき
- 自分が
- 意味のある
というキーワードが大切です。
他の人が取り組みやすいものでありかつ自分に知識がない場合、その問題は自分には向いていません。
また、その問題に取り組んだ時間と労力にたいして得られる成果のインパクトが小さいのであれば取り組む必要がそもそもありません。
よって、本当に自分にとって価値のある イシュー について注力する、ということが大切だと述べています。
バリューのある仕事(知的生産)をするためには、「イシュー」について「解の質」をあげる必要がある
社会人は限られた労働時間で給与に見合った生産を行う必要があります。
つまりバリューのある仕事=知的生産です。
そのためには以下の 2 つが大切です。
- イシュー度の高い問題を見つけて、仮説を立てる
- 事業インパクトのある本当に価値のある取り組むべき課題を見つける
- 課題についてやみくもに取り組むのではなく、仮説をきちんと立てて小さく試す
- 解の質を上げる
- 課題について明確に答えを出す
本質的な仕事、価値のある仕事というのは本当に最小限です。
その最小限の仕事へ注力し、かつそのアプローチの方法を最適化しよい答えを出すことで最大限のアウトプットを得ます。
犬の道 と触れられているように「数をこなせばいい、残業すればいい」という取り組み方をしてはいけません。
- サボっている
- 手を抜いている
と思われるぐらい、本当に最小限の価値のあることに時間を使い、それ以外は取り組まない。残業しない。
それぐらいイシューの高いものについて取り組もう、と述べられています。
イシューを見極める・仮説を立てるために一次情報へふれる
イシューを見極めるためには 一次情報 へ自らの手で触れる必要があります。
というのも誰かがまとめた情報だけを当てにすると、色眼鏡が通されて捻じ曲げられた情報になってしまう可能性があります。
また、誰かの伝聞よりも「自分で経験する」ほうが圧倒的に肌感が得られやすいです。
百聞は一見に如かずとあるように、自分でどんどん行動し経験して一次情報へ触れましょう。
本書をよんで考えたこと・感じたこと
「本質的なイシュー」というのはエッセンシャル思考に通じる
人生における重要なことはほんの少ししかない。それ以外は捨てよう。
上記の趣旨がエッセンシャル思考で語られています。
また、 ganyariya が読んだ他の本についても「大事なことを見極めて、無駄なものは捨てる」という趣旨が語られています。
そういう趣旨の本を好んでいるからですが…。
本書の「イシュー」はエッセンシャル思考に通じるものがあるとおもいました。
おしごとをしていると本当に重要なことは最小限です。
仕事ができる時間は限られていますが、その時間を数倍は超えるタスクや課題が存在します。
たとえば、新規施策が明日控えている状況でリファクタリングや費用削減を優先すべきではありません。負荷対策をきちんとおこない、新規施策を無事にリリースできることのほうが重要です。
個人においても仕事においても、「本質的なイシュー」はほんの少ししかありません。
少ししかないイシューを見極めて、限られた時間でインパクトのある作業をしたいです。
イシューを解決する方法を比較して最適なものを選択する=解の質
取り組むイシューを見つけたとしても、それにどう取り組むか?をきちんと考えてから行動することが大切です。
ある1つの機能実装をとっても、その機能を実現するための設計やチケットの分割粒度、分担の割り振りなどやり方はいくらでもあります。
プランナーさんと相談してみると、実はその機能の優先度は高くなく、別機能を優先したほうがよいことも多々あります。
取り組むべきイシューがあるとき、闇雲にすぐ取り組むのは効率が悪いです。
手を動かす前に仮説を立てて比較検討し、最適な行動をとる。
これが「解の質」をあげるためのもっとも大切なことだとおもいました。
個人開発や個人勉強においてもイシューの考えが役立つ
エッセンシャル思考と同様ですが、イシューの考え方は個人に対しても適用できます。
じぶんごとですが、ganyariya は父親になり、これまでと比べて圧倒的に時間が減りました。
赤ちゃんがもっと大きくなるにつれて家族時間がふえ、勉強にかけられる時間が減ります。
だからこそ、個人の成長という観点で大切な最小限のイシューを見極めて、そのことに取り組むようにしたいです。
闇雲に勉強し、メリハリがつけられないようではだめですね。
まとめ
エンジニアにとっても「本質的なイシューを見極めて、仮説をたてて比較検討し解の質をあげる。」という考え方は応用が効き、とても重要だとおもいました。
エッセンシャル思考とともに、自分の行動指針にします。
切れ端
ganyariya の 2025/10 現在のイシューを考えてみる
おしごと
2022/04 ~ 2025/04 まで 3 年間バックエンドエンジニアをしていました。
そのうち 1 年間はチームリードでした。
- 今後もエンタメ業界やゲーム業界で仕事をするうえで、クライアント側もしっておきたい
- 個人でノベルゲームエンジンをつくりたい
という理由から、 2025/10 からクライアントエンジニアになる予定です。
そのため、今のおしごとのイシューは
- クライアントエンジニアとして最低限の知識、そして活きたプロジェクトの経験を積む
- Lua など、ノベルゲームに関わるクライアント分野の知識を得る
- バックエンドエンジニアで得られた経験をクライアントで活かす(逆も然り)
です。
とにかく、クライアントの経験をつみ、30~31 歳ごろにバックエンドに戻ったときにその知識が応用できるようにしたいです。
個人エンジニア
個人エンジニアとしては、自分の経験と知識を深めるための活動をおこないます。
また、「やりきる」ということを意識し、継続する週間を身につけることを意識します。
2025/10 においては
- Unity Novel Game
- CTF
- 自宅サーバ
に専念して活動していきます。
といっても 業務駆動開発 がもっとも優先され、Unity のキャッチアップがおそらく最優先事項になるのでしょうね…。
とにかく、 2025/10 以降は Unity のキャッチアップ、そして趣味の CTF/自宅サーバ(枯れた技術の理解)になるのだとおもいます。
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