はじめに
きゃべつそふとから発売された「ジュエリー・ハーツ・アカデミア」(以下ジュエハ)をクリアしました。
シナリオライターは緻密に練られたシナリオとしておなじみの冬茜トム先生です。
(この時点で面白くないわけがない…)
この記事では、ジュエリー・ハーツ・アカデミアをプレイした感想をまとめます。
なお、重大なネタバレを含むため、未プレイの方はご注意ください。
この記事の流れは以下の通りです。
- 本作の特徴
- 本作の良かった点(ネタバレを含む)
- 本作で自分に合わなかった点
- 本作でライターが伝えたかった(であろう)こと
- 自分の意志(ジェム)はなんなのか
本作の特徴
学園モノかと思ったら熱血友情バトル系だった
届いた箱の表紙を見たときに思ったのが、「今作はゆったり学園モノかぁ〜」というものです。
しかし、実際に中身を開いてみると、ジャンプに匹敵する熱血友情バトル系でした。
主人公ソーマを含めた 6 人は異なる種族で構成された「ペガサス組」として学園に入学することになります。
ヒトとセリオン(獣人)という異なる種族であるため、お互いに相容れないことも多いです。
また、それぞれが「意志」という「特別な願い・思い」を具体化した宝石を持っており、文字通り意志が強すぎて自分の意見をなかなか曲げないため、そのことも相まってクラスとして最初は一切まとまりがありません。
しかし、右往曲折を経て、ペガサス組のメンバーが種族と意志をこえ、お互いに尊重するように・大切に思うようになりました。
相容れない相手でも、異なる種族でもお互いを知ることによって、協力できるようになる、という友情と理解を描いているなぁと思いました。
意志
先程も出ましたが、「意志」が本作のキーアイテムになっています。
自分の大切な思いが「意志(ジェム)」という宝石として具現化され、意志の種類ごとに特殊な能力が使えるようになります。
死んでしまった人間が残す意志のことを「遺志」と呼ぶなど、「宝石」を模した話題の広げ方がうまく、トム先生だなぁ…となりました。
本作の良かった点
社会風刺があること
本作では「異なる種族」における争いと理解(≒友情)がテーマです。
種族が異なれば思想も違う、そして歴史も違う。
だからこそ、お互いが理解できず、争う。
現代においても、日本人同士でも理解できない性格であれば互いに争いますし、外国の場合はどこかとどこかが戦争することもあります。
このような「争い」がなぜうまれるのか?を本作では描写しています。
1, 多数派と少数派に分かれるから争う
多数派がすべからく正義であり、少数派がすべからく悪、とされています。
お互いが相手を理解できず「相手が悪である」とみなした結果、多数派のほうが数が多いため、数の暴力で少数派がより悪になります。
2, 理解できないから争う
ノア・フォン・レオンシュタインの演説のシーンです。
異なる種族同士で争うのは、「同じヒト種族」であることがわかっているからだ。
だからこそ相手を理解すべきだ。
ということを述べています。
ヒトと犬は争いません。これは完全に生き物として異なるものであるためです。
同様にヒトとハエ、ヒトと猫、ヒトとライオンは争いません。
完全に異なる種族であれば「異が異であることを許す」といえます。
しかし、ヒトと獣人(セリオン)は似た種族です。
だからこそ互いに理解できない部分があり、共通の土俵の上で争います。
このようにレイヤーが異なる生き物は完全に無視できるが、同じレイヤーの生き物に関しては「理解できない」点が露呈しやすいです。
互いに「理解できない部分」を理解しよう、譲歩しよう、と努力することで、争いをなくそう、というのが現代社会でもとても大事だなぁと思いました。
(争える、というのは互いに似ているところも部分的にある、ということなので。)
伏線が良かったこと
冬茜トム先生の作品の特徴として、何かしらの伏線・どんでん返しが盛り込まれている点があります。
本作もそれに漏れず、きっちりと伏線・どんでん返しが用意されていました。
ここでは、伏線について触れるため未プレイの方はご注意ください。
伏線の内容 1
ぬわ〜完全に気づきませんでした。
主人公ソーマやルビイが少数種族「ヒト」であり、その他のセリオン以外の登場人物がすべて「ヴァンパイア」であることです。
ゲームをプレイしていると、「あ〜すでにヴァンパイアはほぼ絶滅状態で、ヒトとセリオンだけになっているのだなぁ〜」と思っていた矢先に、ヒロインたち(ヴァンパイア)のドキドキ吸血食事シーンがお披露目されます。
急にこの CG が出てくるもんなので、びっくりしてパソコンから飛び上がっていました。
思えば、登場人物たちの挙動にはおかしな点が多かったです。
- ご飯を食べるシーンが一切ない
- 明らかにヒトとは異なり身体能力が高すぎる
- アリアンナたちが 1 週間ずっと空を移動している間の「食料の心配」「トイレの心配」などを一切相談していなかった
ヴァンパイアはヒトの血が大好きであり、吸血の結果ヒトを殺します。
この事実が発覚してからこれまでなんとも思っていなかったヒロインたちであるアリアンナやベルカを見て、ひえ…おそろしや〜となりました。
伏線の内容 2
マスターの招待がキャロちゃんだったことにはびっくりはしませんでしたが、なるほどなぁとなりました。
マスターと電気石で通信する際に、マスターの顔がディスプレイに表示されていました。
が、よく考えると「正体を隠匿する」必要があるため、マスターの顔が正直に表示されているわけはないですね…
キャロちゃんがマスターであることを示唆する内容がバッドエンドルートにあるらしいため、そちらもプレイして確認しようと思います。
伏線の内容 3
エピソード χ の正体がギメルだったことです。
シナリオの進み方的に
- 主人公ソーマが昔地下に閉じ込められていたことを描写していた
- リアルタイムで誰かが地下に閉じ込められていることを描画していた
のどちらかだと考えていました。
伏線の内容 4
伏線ではないですが、好きな演出として、エンディングが途中で中断される、がありました。
ゲームの UI / 演出の当たり前を壊すような表現がとても好きです。
そのため、この ED を見たとき非常にテンションが上がりました。
本作で自分には合わなかった点
バトルが長かったこと
思った以上にバトルシーンが長く、友情バトルを描いた熱い展開が多かったです。
ストーリー・シナリオが読みたく、早く先が気になる〜となっていたため、バトルが長いなぁと感じていました。
ED が急展開だったこと
ED において、黒幕が超常現象的な攻撃をしてきます。
そして、主人公たちも超常現象的な攻撃をします。
これまでの「意志」を利用した能力バトルから外れてきて、一気にバトル内容がインフレして「主人公たち 学生だよな….?」と冷静になってしまった点があります。
本作でライターが伝えたかったであろうこと
1, 種族を超えて理解をしよう
本作ではヒトとセリオン、そしてヴァンパイアが出てきます。
これら種族は互いに似ている部分があるからこそ、争います。
(ヒトとバッタ、ヒトと犬は争いません。違いすぎるためです。)
似た部分が多いからこそ、似ていない点・理解できない点を互いに理解して、譲歩する、友情を深める、というのがテーマの1つだなと思いました。
2, 独自の意志を持とう
本作では並々ならぬ意志を持つと「意志(ジェム)」が創造されます。
自分を突き動かす意志を見つけ、その意志を大切にしよう、というのもテーマの一つだなと思いました。
自分の意志(ジェム)はなんなのか
最後に、自分の意志はなんなのか?を考えます。
ganyariya の意志はメアと同じく、トパーズ(叡智)だなぁと思いました。(もしくはラピスラズリ(探求))
エンジニアとして新しい知識と技術を身に着けて成長することがとても好きです。
できるだけ知らないことはないようにしていきたいと考えています。
エンジニアにとって、知識欲・技術欲は非常に大事だなぁと考えているため、トパーズの意志を強くもって頑張っていきたいですね。
最後に
どうやったら、「伏線」「どんでん返し」のある面白いシナリオが思いつくのですかね…